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美容ジャーナリスト 倉田真由美さん

BEAUTY BIBBLE


第一回目は、日本を代表する美容界のカリスマ的存在、美容ジャーナリストの倉田真由美さんです。

太陽のサイクルに合わせたライフスタイルこそ理想

The Day Spa (以下TDS):真の美しさは心身の健康にこそ宿ると思いますが、倉田さんが長年実践されている、これぞ倉田流ビューティ&アンチエイジング法について教えてください。

倉田さん(以下敬称略):私の持論として、老化とは「滞る」「乾燥」にあると考えています。これは、肌など外見のことだけではなく、メンタル面を含めた、体の内面にも言えること。外見、内面の全てがうるい循環が出来てこそ、イキイキと若々しくいられるのではないかと思うのです。

それには、まず太陽のサイクルに合わせて生活するのが理想!!
人間の体は太古の昔からDNAに刻まれている時間枠があるんですね。その時間軸に沿って、生活すること= 「日(太陽)が昇ったら活動をスタートし、沈んだら休息する」
そんな暮らしこそが、健康も保てるし、美容にもつながるのだと思います。

昔は、原稿なども夜にライティングすることが多かったんですね。夜の10時や11時になると、やはりペースが遅くなり効率も悪かった。ところが、30代前半、厄年のころから体調が少しずつ変化しているのを実感したんです。例えば、腰痛、便秘、ウエイトオーバー・・・。そして夜更かしの疲れを1週間も引きずるようにもなり、これまでの夜型の生活から朝方へシフトしました。すると、フレッシュな発想も浮かび仕事もどんどんはかどるようになり仕事の効率もUP。仕事効率だけでなく体調もよくなり、それからは朝方の今のライフスタイルが定着したんです。そんな風に自分の体が自分自身に気づかせてくれることに敏感でいることもとても大事なことだと思います。

TDS:とはいえお仕事柄、会食なども多くあり就寝が遅くなられることもあるのでは?

倉田:そうなんです。それで「ゆるビューティ」を実践しています。これは何事もストイックに決めつけるのではなく、できる時にはやる!ということに目を向けた、実践法。
こうしなきゃ、と決めつけてしまうと人間はストレスを感じてしまう。するとなかなか続かない・・・。だから、「できるならやっておこう」=「ゆるビューティ」がちょうどいいんですね。
少し自分を甘やかしつつ、いかにストレスフリーで、理想の生活を実践するかが大切だと思います。ちなみに、ストレスの種なんて気の持ちようでなんとでもなる!と思うことが大切。ストレスをマイナスにせずプラスにもっていく努力をする。これも大事。

フィジカルな面では、パーソナルトレーナーについて、ワークアウトをしています。そしてヨガに通っています。

アーユルヴェーダに基づいた食生活を実践

TDS:倉田さんはいつも本当にお美しくて、健康的でいらっしゃいますが、内面からお肌や髪が美しくなる倉田流美食について教えてください。

倉田:人間の体のプログラムは、アーユルヴェーダ理論にもある通り、
午前中→排泄の時間
午後→消化
夜→休息
私は、これに基づいた食生活をできるだけ実践するように心がけています。

朝は、酵素をたっぷりとります!旬の野菜やフルーツをとることにより排泄しやすくなる。生野菜は体を冷やす、と言われているけど、これから体温が上昇する午前中ならよいのでは?と思っています。
逆に夜の生モノは体を冷やすのでNG!また食事はできるだけ、20時~21時位までに済ます。(22時以降は休息の時間!) 炭水化物はあまり口にしないですね。日本の食事スタイルでは、炭水化物が多くなりやすいので、気をつけています。理想は、タンパク質:野菜:炭水化物=3:2:1の割合。ちなみに、お昼は、というと、オフィスにいるときは、有機栽培の温野菜サラダ&玄米おにぎり1個、とシンプル。

ただ会食なども多いので、そんな時にはステーキなどお肉を食べることもあります。トレーニングを始めてから、良質のたんぱく質(お肉)や豆乳、お豆腐、納豆などをとるように気をつけています。タンパク質は、筋肉・血液・骨・ホルモンにとって大事な要素なのです。「カロリーにとらわれず、内容を重視!」も私の食生活の基本ですね。

そして、季節のもの、国産のものを摂取し、地産地哨を心がけています。
美容効果=健康効果!!なのです。自分で料理をするときは、なるべくシンプルで素材を生かした調理法を大事にしています。アーユルヴェーダ理論では、食材は切ったそばから酸化は始まる、と。だから、例えば、お肉を練って作るハンバーグなどのお料理はせず、素材の形のままいただくことができる、蒸したりゆでたり、という食べ方が多いですね。

様々な事を教えてくれる猫は私にとって「なごみ、癒し」の存在

TDS:あるプロフィールで、倉田さんの趣味は「ネコいじり、美食、見知らぬ地を徘徊すること」とありましたが、倉田さんにとってネコちゃんの存在とは?

倉田:ネコちゃんは今なんと18歳!今ではもちろん、家族の一員でもある猫ですが、猫から教わることも実は多いんですね。基本的に動物は年齢の意識がなく、生きている限り現役!例えば動物園のおばあちゃんカバ(人間でいうと70歳)が出産した、とか動物から人間は見習うべきところがあるのでは?

人間は、「もう何歳・・・」「もう何歳だからこんなことしたら恥ずかしい」というように、勝手に年齢にしばられて、自分で自分を窮屈にしているのではないかと思います。動物みたいに、「自分は自分でいいんだ!」という考え方、これこそが、最大のアンチエイジングなのでは?

猫から“四季”(春夏秋冬)を感じることも多いですね。夏毛から冬毛に変わったり、また寒い時は温かいところを見つけてサッと移動したり、文句を言わずに自分が置かれている状況の中でいかに快適な環境にするか、快適に過ごすかと、とても「シンプル」に生きている。人間はすぐに文句を言ったりするけど、こういう「シンプルさ、ナチュラルさ」も、猫から教わることの1つです。
鬼怒川の日光東照宮の「眠り猫」のように、猫がすやすや寝ている、そんな風景は平和。本当にそう思います。
一言で言うのはとても難しいけど、私にとって猫とは「なごみ・癒しの存在」ですね。

昨年訪れたスリランカの旅で、心が洗われ、迷いがなくなりました

TDS:最近訪れた見知らぬ地はどこですか?
そこで心に残ったエピソードがあれば教えてください。

倉田:昨年訪れた「スリランカ」ですね。心が洗われて、シンプルになり迷いがなくなりました。モロッコもそうでしたが、プリミティブな土地の方々は、人の原点、動物に近い暮らしをしているのではないでしょうか?まだ行ったことはありませんが、ブータンもそんな暮らしぶりだから「幸福」と思っている人が多いのではないでしょうか?

例えば、彼らは裸足で暮らしていたり、私のライフスタイルの理想である、まさに「日の出とともに起き、日の入りで休む」という生活スタイル。
電気の通っていない土地がまだまだあったりする中、家族が一緒に食事をしたり、仕事より家族や自分を大事にしているという生活を見て、これがある種、人間の正しい生活なのではないかと思いました。

日本人は自分のことよりまず仕事が第一、大事、と思っている人が多数なのではないでしょうか?それにより、失うもの、いろいろすり減らしているものがあるのではないか?とスリランカの人々が気づかせてくれました。そして、便利さにより失ってしまうこともあるのではないかと、改めて考えさせられた旅でしたね。

またスリランカでは、「薬食同源」(いただくお食事が体を作っていく)という考え方が根付いています。私はかねがね、美しさ、若々しさは、健康の上に成り立っている・・・と漠然とは感じていましたが、実際にスリランカの土地に立ち、そんな暮らしぶりを目の当たりにして、自分のライフスタイルも、さらに薬食同源でありたいと気をつけるようになりました。
Spa は自分を取り戻し、リボーン(再生)する場所

TDS:倉田さんは国内だけでなく、海外のスパについても精通されていますが、スパがもたらす力についてどう思われますか?また倉田さんにとってスパはどのような存在ですか?

倉田:私にとってスパは、気分転換したいときに受けたいところ。そしてリボーン=自分を取り戻し再生する場所です。

スパでは、無になれます。これは、「転地療法」(=場所を変えることで頭がリフレッシュされ、いい刺激を受け、リセットできるセラピー)と同じ効果が得られると思うのです。旅行もそうですね。別の土地に行くと、頭が切り替わって、同じような効果が得られますが、なかなか時間も取れないですよね。そんなときスパに行くと、数時間で同じ効果が得られると思います。

人間は少なからず肩書き(人によってはお母さん、奥さんなどという役割など)を背負って生きていますが、スパに行くとそれら全てを脱ぎ捨てて、一人の人間として頭をからっぽにして“無”になれます。1人の個の人間として頭をからっぽにすることにより、脳内が再生される。これがスパのいちばんの醍醐味ではないでしょうか?

スパのトリートメントは、受けるマッサージで血行が良くなったりスキンケア効果があることが重要視されがちです。もちろん、それも大事ですが、それだけでなくリフレッシュすることで、免疫力・代謝力がUPし、人間本来の再生能力を取り戻す、スパはまさに「リボーン」の場所なのです。
だから、忙しい人ほど時間を作ってスパに行ってもらいたいと思いますね。トリートメントを受けた後は、物の見方を変えられたり、「あれ?こんなことでストレス感じてたんだ」という気づきも得られると思います。

実はスリランカに行って、ヨガに目覚めたのですが、ヨガにも、同じような効果があります。ヨガは自分と向き合うことにより、ざわついた心も落ち着いて、気持ちが安定します。ヨガは他のスポーツ、ジムなどとは汗のかき方が全然違うんですね。
そういう意味で、スパは人の手を借りて行いますが、ヨガと良く似ているのではないかと思います。

スパは他力本願になりがちと思われていますが、実は自分の心と向き合うことで自分自身のめざめ、気づきが得られる 「自分を取り戻し再生する場所」なのです。

倉田真由美(くらた・まゆみ)さんプロフィール
美容ジャーナリスト
東京生まれ。
25年以上のキャリアを持つ美容ジャーナリストの草分け的存在。
女性誌編集部、編集プロダクションを経て独立し、雑誌の美容ページや新聞のコラム、PR誌などで執筆活動を続ける。
現在は、フィガロ・ジャポン(阪急コミュニケーションズ)、エクラ(集英社)、クロワッサン(マガジンハウス)、プレシャス(小学館)、美的(小学館)をはじめとする女性誌や、エル・オン・ラインの「ビーティダイアリー」、フィガロ・ドット・コムの「今日は美的にタカラヅカンゲキ」などで活躍。
トレンドをバランスよく取り入れながら、ユーザーの立場に立った適切な記事やコメントを発信している。
また近年は、美容にまつわる講演やラジオ番組(J-WEVE、FM横浜)へのゲスト出演など活動の場を広げ、美容全体における啓蒙活動にも力を注いでいる。
著書に『しあわせ美人のつくりかた』(ぶんか社文庫)がある。